君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

監督月川翔

出演浜辺美波北村匠海小栗旬北川景子ほか

観る予定はなかったのですが、偶然観るタイミングが整ってしまったため、話題作でもあるし観てみました。

ハードル低めに、広い視点、優しい視点で見るといい映画でした。

何より難病ものとして他とは一線を画す要素があり、観た人がはっきり明解なメッセージを受け取れる仕組みになっているので、原作がヒットしたのも分かります。そして主役の浜辺美波さんがとても可愛く、落ち着いた存在感、オーラがありますね。将来が楽しみです。

しかし

ここから先は、いつも観ている優れた作品と同列にして観た厳し目の視点で、ちょっと気になったマイナス点を書いてみます。

大きく気になった点が2つ。

1つめは登場人物の実在感の無さ。特に主役の浜辺美波演じる桜良。このつかみどころのないキャラはいったい

大人でも言わない思いつかないような達観した言葉を次に口にするのに、相手への配慮が欠けた自己中行動の数。

他の登場人物も同様に実在感が薄く、同じ世界に生きている人たちという感じがないのと会話にリアリティがないので、この映画にどっぷりつかることは難しいです。

たとえ余命1年でも周囲に病気と気が付かれることなく生活を送れるくらいに医療は進んでいるというファンタジー設定もどうなんでしょう。

2つめは、原作に付け足された大人パート。小栗旬北川景子という人気俳優をセッティングしたため必然性のない12年後に設定。それでも映画が良くなれば全然問題ないのですが、

原作の持つあらゆる要素を薄めてしまう結果になったのでは?

特に終盤に訪れるある展開。この映画で最も重要なシークエンスなのですが、そこが回想シーンとは何とも残念。おまけに僕のナレーションが入ることで過去感を強調する始末

回想でもある程度のインパクトはあると思いますが、主人公と観る側が同じ時間を共有するからこそのインパクトは回想の比ではなく、より強く死生観を考えると思うのです。

他にも大人パートの12年後の宝探しなんか入れちゃうから、桜良の日記であり遺書でもある共病文庫の存在意義も薄くなったうえ僕の最後のメールもなかったことに。

ラストの展開もうん。

原作自体はと言うと、内容はいいものの文体、人物造形や会話などはけっこう稚拙で、設定や人物に関してほぼそのまま映画にスライドしているのが逆にアダになっているかと。

映画化するうえで、もっと人物造形や会話を煮詰めてリアルな実在感を出す必要があったのでは?若い俳優さんの演技だけにそれを託すにはあまりにも無理があったんだと思います。

要は原作の悪いところはそのままに、いい所は変えられてしまった気がします。

あと一言だけ。音楽の入れ方ダサくないですか?

若い人がたくさん観に来るせっかくの題材だったのに、映画として世界に出せるようなレベルの高いものにする志が制作側になかったのが残念。

できることなら作家性を持った監督さんに一から委ねてほしかったと思いました。

満足度5/10