kissからはじめよう1

智くんと離れてから

それは、ダメージは酷かったけど

一生懸命勉強して、

教授の推薦も貰って留学もした。

皆より1年遅く卒業して、

大手のCafeメーカーに就職して

数月、渡米してバリスタにもなれたし、

日本に戻ってきて、

店長にまでなったけど。

なんか違うなって思い続けて

結局は諸の理由で辞めて

実家に戻りたくもなくて、

思い出の数だけを、実家に置いて

海辺のこの町に戻ってきた。

この町を出て行って、2年

一度も顔を出してない

Cafeの扉を開いた。

萌ちゃん?

お店に入るなり

潤くんが、あのパッチリな目を

最大限に開いて、こっちを見てた。

ひっさしぶり!!

何ぃ?店長さん、どうしたの。

うかない顔をした私を見てたら

潤くんの語尾が小さくなった。

相変わらず

神がかって、察しがいいな。

辞めちゃった。

結婚するの?

潤くんは、不安げにゆっくり私を見た。

ううん。

私婚約破棄(笑)

仕事もやめて実家も、居づらいから(笑)

そしたら、ここしかなくて。

フラれた?

うん。

言われちゃったんだ。

潤くんは、

言わなくても私が何て言われたのか

分かったみたいだ。

ってことは潤くん

知ってるんだ。

困ったように微笑むと

とりあえず、カフェオレで良かった?

ね、よかったら入れてくれない?

ご覧の通り、常連以外は居ないしさ(笑)

そういうと、イタズラに笑って

私をカウンターの中に引き入れた。

懐かしい場所。

何も言わずに受け入れられて

コーヒーの香りに包まれていたら

色んなことが蘇ってくる。

視界が滲んでくると

後ろには潤くんが来て

萌ちゃん、

あとは、俺やるから。奥で待ってて。

裏に入ると

オーナーが何も言わずに笑って

お腹の大きな潤くんの奥様が

その隣で笑ってた。

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智くんと離れて5年後。

戻ってきた萌ちゃん

明日は、智くんを。

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